喧嘩の美点は仲直りができること

TOKYO FIST 東京フィストの喧嘩の美点は仲直りができることのレビュー・感想・評価

TOKYO FIST 東京フィスト(1995年製作の映画)
5.0
主人公達のどうにもならない衝動の発露がモラトリアムを感じさせます。
身体的な痛々しさが全面に押し出されており「殴られると痛い」がテーマになっています。
コンクリートに頭を打ち付ける主人公に代わりヒロインが殴りつける、という描写は痛みを含みつつも極めて人間的なコミュニケーションに感じます。彼らの罵り合うような会話は実直な誠実さだと思いました。
無機質な世界で〝痛み〟によって人間的であろうとする姿は生に対する真摯さです。彼らの情動的な生き方はニヒルにならずに生きることに向き合う強さを感じました。