となりのとっくさん

足跡はかき消してのとなりのとっくさんのネタバレレビュー・内容・結末

足跡はかき消して(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

最初は、お父さんは娘が居ないと生きていけないくらい執着してるのかと思ったけど、ちゃんと愛を持って接しているのが分かった。
自分が他者との関わりが持てないからと言って娘だけを置いていくのは確かに残酷だ。
居を転々とする間もトムは疑問は抱えながらもやはり父と共に行動する。
そりゃ、トムにとって選択肢なんて限られてる。
しかし転々とする間も、父は他者とは関わらず(関われないのか)トムは自分から他者と関わっていく。
色んな人と関わると世界が広がってく。

「パパにはダメなことも私には違う」

親子とはいえ違う人間。
トムが自分でそれを導き出せたからこそ、決別を選べた。
それと、多分、別れが寂しいものでは無いと思ったのかも。
あの集落の人たちと森の人は、顔を合わさないけど繋がっている。
(あ、アシタカとサンや!私の理想!笑)
側にいる事だけが優しさじゃ無い。
一緒に居なくても誰かに想ってもらえる。
誰かを想っている。
そういう愛の形でも良いのだと思えたのかな。
(ラストの袋を吊るして口を鳴らす演出は
 最高にステキ!)

最初に捕まった時にお父さんに質問してたオジサンが「良い娘さんに育てましたね」って言ってたのに救われた。
多分、こういう事案では親が責められる事の方が多いだろうが、結局2人の関係性を知らない人が形骸的に捉えて批判してるだけ。
どんな形であれ、お父さんが自分なりにトムに愛情を注いでくれてたのは間違いないと思う。
トラックに乗せてくれたオジサンもちゃんとトムに話を聞いてたのも良かった。

お父さんは努力しなかった訳では無いと思うし、性分だから(てか病気か)仕方ないと思う。
ただあの後、守るべき者が居なくなった世界線で彼はどう生きていくのだろうと想いを巡らせてしまう。

あ〜でも、トムが周りと交流して視野を広げそうになると逃げ出してたから、やっぱお父さんは娘に執着してたのかな…
いずれはやってくる巣立ちを少しでも引き延ばしたかったのかな…


2023-37