LEONkei

テルアビブ・オン・ファイアのLEONkeiのレビュー・感想・評価

2.0
風刺やコメディのレベルは優しくクリーミーなアラブの伝統料理〈フムス〉並だが、食に国境は無くてもアイデンティティの国境線はキッチリと引かれている。

現実が深刻なだけにあまり深く考えずに観れば其れなりに愉しめるが、ユダヤとアラブの関係性は死海の塩分濃度より濃密で深い。

理想と現実を両天秤に掛けながら双方が数千年単位の刻み込まれたDNAは正当性を保持し、対話で解決出来ないのなら力によって衝突してしまう事は必然でしかない。

どちらが正義でどちらが不正義とは言えず和平の道は簡単には訪れない歴史的事実、例えこの映画が一方向からの視点で制作された理想でも描き続けることで和平への道が1μmでも近づく事を願いたい。

特に和平の道を仲介と称する欧米の価値観は、勘違いエリーティズムの自己欺瞞でしかない。

この問題は2国間で治まるものではなく仮に権力者の私利私欲の為なら解決の道が見えるかも知れないが、互いが持つ根本的な民族のアイデンティティを基軸に文化・慣習等等と相違の衝突は残念ながら永遠に交わる事はないだろう。

と言うより仮に双方が交わりひとつになる事の意味は、どちらか一方のアイデンティティを捨て民族の消滅を意味する。

それは人間が人間でなくなると言う意味を為す。

然らば安全地帯にいる外野から双方を無理やり交わらせることは、一方的な価値観を押し付ける人間のエゴでしかない..★,
LEONkei

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