母親から虐待されて育った主人公ペク。大人になってすさんだ生活を送る彼女の前に現れたのは、かつての自分と同じように虐待に震える少女だった。
今上映されてる『52ヘルツのクジラたち』の原作を読んでいて、この映画を見たんだけど、52ヘルツとめっちゃリンクさせながら見てた。
それが温かく接するのが52ヘルツで、それがぶっきらぼうに接するのが今作という印象。
この違いによって、それぞれの主人公が親を離れてからどういう人生を送ってきたのかが如実に分かるよね。素晴らしい。
自分の過去を重ねて、少女と会話することが、自分自身とカウンセリングしているような構図になるのだ。
今作で一番印象的だったのは、少女に「ミス・ペクと呼びなさい」と言うシーン。
ここから、少女は家に帰っても「ミス・ペク、ミス・ペク」と呟くのだ。
そしていつしかおまじないのように、ペクの名前を呼ぶようになる。
このシーンが良すぎる。「助けて」じゃなくて、耐えるように人の名前を呼ぶという描写を思いついた人ありがとう。
虐待は、他人に言うともっと酷い仕打ちをされることを恐れて簡単に他人に「助けて」と言えないのだ。
だからこそのこの演出は素晴らしいのだよね。