けろやま

メランコリックのけろやまのネタバレレビュー・内容・結末

メランコリック(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

近所の銭湯が、殺人現場に使われていた。
それを目撃し、事に徐々に巻き込まれていく、冴えない大人の和彦。
そんな非日常な生活を描いた映画。

人をナイフで刺す、銃で撃つ、焼却する、現場を掃除する…
そんな残酷な情景が多めな作品ではあるが、主人公の飄々とした人柄、銭湯という場所の雰囲気、そして、何事も受け入れる映画内の世界観によって、リアルな描写だが、どこか非現実のような見せ方となっており、不思議と観やすい映画にまとまっていた。

成人長男である主人公をすべて受け入れる、優しい両親。
殺人にかかわる皆が、誰もそこに罪悪感を持たない雰囲気。
銭湯の夜の顔が殺人現場であり、当たり前のように翌日も営業している設定。
冴えない主人公だが、ふとしたタイミングで彼女もでき、充実した私生活。

そんな現実とは異なった設定が組み合わさって、不思議な世界感が構成され、引き込まれていった。
主人公の口数の少なさ、受け答えのぎこちなさにより、ミステリアスな雰囲気を感じられた。
この主人公は、どんな心境なんだろう、とこちらも考えさせられ、そこがまた楽しい。
けろやま

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