そこらの日常の中にありそうで、あり得ないような…そんな物語は、どこにでもあるようで、そうではなくなりかけている銭湯が舞台のサスペンス・コメディ。
主演・プロデューサーを務めている皆川暢二が発起人となり、田中征爾監督、松本役を演じている磯崎義知らと共に、クラウドファンディングや人材集めやロケ地決めなどを行って制作されている。
要するに手作り映画と言える。
ミニシアター界隈の作品にはよくあることだが、この「メランコリック」はその中でも群を抜いて面白かったと言い切れる。
派手さこそないが、役者達の素晴らしい演技と、サスペンスとコメディのバランスも良く、観れば観るほどドンドンその世界観に引き込まれた。
物語としての面白さ、その奥には温かくてとても大切なメッセージがあり、それはまるで銭湯でゆっくりと湯に浸かって、そして外に出た時の爽快感にも似た気分を感じた。