ケンシューイ

それぞれの道のりのケンシューイのレビュー・感想・評価

それぞれの道のり(2018年製作の映画)
3.3
東京国際映画祭2018
ラヴ・ディアス監督の『立ち去った女』に衝撃を受けたので、この作品を鑑賞してみた。

フィリピン映画100周年を記念して製作された3本のオムニバス作品。“旅”を共通テーマとされている。鑑賞直後にまず思うことは、三者三様の異なるスタイルでバラエティ豊かだったこと。

トップバッターのディアス監督。相変わらずの定点カメラ・長回し・モノクローム。その映像の圧倒的な美しさにはやはり魅了される。もはやだんだん鮮やかな色が見えてきた気がする。ハッとさせられるラストで終わるがしかし、この監督に40分足らずは短すぎた。最低4時間くらいは必要なんだなってことがわかった。

2本目のメンドーサ監督。うって変わって、手持ちカメラのドキュメンタリータッチ。土地を奪われた農民たちが、その返還を求めて政府に抗議するため首都マニラまで1700キロの距離を歩くという旅。わかりやすい構図でダイレクトに思いが伝わってきた。

最後はタヒミック監督。つい2日前にナショナル・アーティストというフィリピンでは非常に名誉らしい賞を授賞されたという。息子がバギーに乗って様々な民族のところへ旅する姿を、父親である監督が帯同して撮影したリアル・ドキュメンタリー。とにかくこの人ぶっ飛んでるって思った。容姿も含めて、確かにアーティストだなって思うし、人間国宝級のオーラがあった。フィリピンの国名の由来について、ちょっと冗談交じりに話してるシーンが面白かった。

ハリウッドに負けるな!アジアも頑張れ!
となりました。