秀緒

プロメアの秀緒のレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
1.0
映画を見てこれほど怒ったのは生まれて初めてだった。
ピンクトライアングルやブラックパワー・サリュートに象徴される歴史を引用しておきながら、リスペクトはゼロだ。製作者は歴史にも社会問題にも関心はないのだろう。単に物語のアクセサリー、エモさを醸し出す装置として言及したにすぎない。
映画のストーリーは極めて差別する側に甘く、同時に差別される側の抵抗を断罪するものだ。ゲイ解放運動や黒人公民権運動の象徴はこんな風に読みかえられ、骨抜きにされ、盗まれて消費された。「LGBTは生産性がない」と国会議員が言い、大坂なおみの肌の色がジョークにされるこの国で。
燃料として焼却された無名のバーニッシュたちを、私は悼み続ける。彼らの死をこの映画が何とも思っていなくても。私はこの映画を許さない。
秀緒

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