秀緒

LOGAN ローガンの秀緒のネタバレレビュー・内容・結末

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 吹替で鑑賞。
 見終わった後の満足感がすごかった。いいものをたらふく食べた感じ。好みの味だったかはともかく、お腹いっぱいで大満足。
 好きだった点を先に書くと、チャールズとローガンの関係。チャールズとローガンが嫌味を言い合いながらお互い気にかけあっていた。よく知り合っている間柄同士でしか通じない嫌味の応酬。だから傍目にはすごくイチャイチャしてるようにすら見える。父子萌えに全力であった。チャールズ-ローガンの関係性の描写に比べたら、ローガン-ローラの描写はまだ抑制が効いていたと思う。 親密さだけじゃなく、近いゆえの疎ましさや鬱陶しさ、介護するつらさと介護されるつらさもしっかり伝わってきた。ローガンはチャールズに対して全然優しくないのに、敵襲時にはいつでもローラよりも優先してチャールズを守る。その様子には、子が親を見捨てられない宿命じみた哀しさがあった(捨てる人もいるだろうがローガンは捨てられないと思う)。2人ともX-MENシリーズのシンボルのような存在だからこそ、どこにでもいそうな父子をやっている様子に独特のおもしろさがあった。個人的には、ローガンに発言を全然信じてもらえないチャールズのもどかしさに入れ込んでしまった。
 好きじゃなかった点は、いくらなんでもローラが都合のいいキャラクターに見えた点。ローガンは親として不適格すぎる(ローラよりもチャールズを優先するし、そもそも最初はローラの苦境を見捨てようとした、子どもに心配をかけない程度のセルフケアもできていない)のに最期に「パパ」と呼んでもらえるなんて。そういうこともあるかもしれないが、美化して描いていいことではないように思う。ローガンとローラの関係の描写は一貫して抑制が効いていたし、ローラはただ可愛らしいだけでなく手のかかる子どもではある。それでもプロットだけ抜き出すと、ローガンの物語にとって都合のいい振る舞いを割り当てられているように思える。
 この点に代表されるように、「男らしさ」や父性へのこだわりが強すぎて入り込めないところは全体にあった。たとえて言うと、『ターミネーター ニューフェイト』でシュワルツネガーの小屋が出てきた時の鼻白んだ感じ。自分にあんまり関係ない話をされている疎外感。すごく楽しんで見ながら「こういうのが王道なんだなあ」と醒めた風に感じる自分も確かにいた。
秀緒

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