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君は月夜に光り輝くのmatchypotterのレビュー・感想・評価

君は月夜に光り輝く(2019年製作の映画)
3.9
《日本の恋愛の映画》、Vol.16。
残り5本。終盤戦、突入。

やっぱり、彼。北村匠海。この企画、『君スイ』以来、2本目。いや、『勝手にふるえてろ』入れたら3本目。
彼にどハマり。そりゃ、観るっきゃない。

やはり、彼の臆病で根暗気質の優しさからくる“日常”への引き込み具合。

ものすごいドラマチックでも、ものすごい絶望感でも、ものすごい稀有なシチュエーションでも、何でか“共感”を連れてくる彼の穏やかだけど芯の強い立ち振る舞い、眼差し、言動が好き。

このなんやかんやと相手に振り回されて、でも自分は自分でブレもせずにそっと寄り添う役、彼の天職じゃないか。

永野芽郁、今回の企画、初参戦。
『そして、バトン〜』でも、すごく素敵だった彼女。

役所もあって、恐るべき純粋さと、今にも消えてしまいそうな儚さと。
病と向き合う気丈さと、死への恐怖から来る皮肉っぽさと。
北村匠海が自分の願望に付き合ってくれることへの嬉しさが融合したとても入り組んだ魅力的な女性。素敵。

“発光病”。
皮膚の異常で月の光を浴びると発光する。
不治の病。この病のため、病院から出られず、、、そして、大人になるまで生きられない。

医師から余命1年を告げられるも、それはクリアしていて、もはや毎日が“余命0”状態。
つまり、いつその時が来てもおかしくない状態。

そんな病院に缶詰の彼女に、会ったこともないクラスメイトの彼がたまたま寄せ書きを渡しに来たことで話が始まる。

いきなり彼女の大切なものを壊してしまって、その罪滅ぼしが「彼女がしたいことを代行すること」。

1人遊園地、ジェットコースター、新型スマホ行列購入、メイド喫茶バイト、IKEAショッピング、バッティングセンター、バンジージャンプ、、、。

次々に出されるお題にチャレンジしていくうちに、2人の絆も強くなる。
しかし、盛り上がれば盛り上がるほど、彼女の“病”が重くのしかかってくる。

冒頭が彼女の葬式。
だから、その回想のような、そこまでの道のりを描く。

その障壁、絶望感と一緒に向き合いながら、絆を育み、2人だけの病院の中と、彼の外界の経験だけで、“生きる喜び”と“死への恐怖”が入り混じった儚く切なく、温かい話。

この2人、本当いいな。
極めて稀有な状況下で、1人の男性と1人の女性の、本当に等身大で極めて日常的で普遍の恋愛をしている。
これがどれほど尊いことかと胸が詰まる。

2人の思い、それぞれの家族の思い。
色んな人に支えられたり、避けられたり、それぞれ病であろうとなかろうと色んな背景を抱えて、希望があろうとなかろうと生きている。

そうこうしながら生きてきて、そして死んでいく過程で、大切な人と出逢う。
一緒に生きて、一緒に寄り添って、一緒に死ねなくても、出逢うもんは出逢う。

それが絶対的に、100%そうなることが確定している関係の中で彼らが何を見つけ、何を遺すか、、、。

「会いたい」ってメールが来て。
何も言わずに駆けつけて、そっと夜中の病院に忍び込んで会いに行って。
「え?忍び込んだの?」「そっちが呼んだんだろ?」なんてやりとりして。

そんなことが積もれば積もるほど生きたい思いも募る。
そして、この“最後の代行”、そして“最後からさらに続く代行”、、、この遺し方が本当にとても最高。

「私は、私でよかった」

彼も、彼女も、北村匠海も、永野芽郁も。
とてもとても優しさと気高さと生きる喜びで胸がいっぱいになる素敵な映画。

そして、優香とミッチーもまた素敵すぎる。


F:1620
M:18436
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