都部

Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バックの都部のレビュー・感想・評価

1.5
今年劇場鑑賞した映画で『クソつまんねぇな……』と十分単位で最も生々しくその中身のなさ感じた作品であり、A24が犯しがちなそれらしい洒脱な筆致でクソな日常を描けば作品になると思ってる舐めがマジで前面に出ている映画でかなり酷い。

作品評価をチラホラと見ていると、『洋画風の下品なジョークが繰り広げられる面白さ』『アメリカの痛快無比な青春馬鹿映画!』という褒めなどが見られましたが、自分としてはそういう〜っぽさ以上の奥行きを本作には感じられなくて、シークエンス一つを取っても一面的でしかないショボイシーンの繋ぎ合わせぶりが悪目立ちしている印象。

オフビートな馬鹿映画は基本的に好きなのですが、若さゆえの過ち的な失態の連続は題材に応じた既視感を覚えるシーンの連続に過ぎず、日常のどうしようもない閉塞感をものともしない軽薄な感じも虚しく空回っている──この『行き当たりばったり』感の作劇上でのコントロールの下手くそさがとにかく腹立たしくて、馬鹿で下品な言動を作品の言動として落とし込めていないとすら思える。

本作は監督の実体験を元にしているとのことだが、実体験をフィクション化する手つきとしてはやはりそうした点で至らなさがあり、アメリカの低所得同性カップルのありのままの話をありのまま出されても評価出来るのはそれが一応の映画と姿かたちをしているという部分だけで、それを優れた映画と呼ぶことはやはり難しい。
(劇伴は悪くない)。

文章にすると一行で終わる『良いな』と思う関係性の姿形に甘えすぎだし、発展性のなさを行き詰まりに準えてるのは分かるけど、描き方と内容のタッチの差異が作品価値をおもむろに虚無にしてる感じは舐めてんな/舐められてんなという味わいで、やっぱクソみたいな映画だと思います。
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