岩家シツジ

第三夫人と髪飾りの岩家シツジのネタバレレビュー・内容・結末

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この作品は、なんというか…とにかく素晴らしかった。
予告動画も見てなかったし、あらすじもほぼ知らない状態で鑑賞したのだが、主人公のメイが最初に大家族と対面する場面から不穏しか感じなかったし、少しずつ明らかになる関係や運命が、随所に絹が作られていく場面と共にじわじわと心に入ってきて、終盤は逆に涙が出ないほど苦しかった。

第一夫人の長男に嫁いできた娘の場面場面での表情の変化は、助演女優賞を取ってもおかしくないほどの迫真。この一連の流れは伝統やしきたりの不条理、それに抗う事さえも不条理。何が幸せなのかわからなくなるね。

そして第三夫人であるメイに男の子が生まれますようにと、観ているこちらが心から思っちゃったもんね〜。一歩間違えば卑猥な表現になっちゃうけど、出産シーンは赤ちゃんの股間を食い入るように見てしまった汗。

ラストシーンでの第二夫人の娘が自ら髪を切る場面。中盤で無邪気にこの子が言った「私は男になる。そう祈った」の台詞はこのラストシーンで急激に重みを増す。
この作品のテーマというか真髄は、中盤にある何気ない場面での台詞だった。

秀逸でした。
岩家シツジ

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