キットカットガール

審査員のキットカットガールのネタバレレビュー・内容・結末

審査員(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

クリエイトするには「我」が不可欠。
究極の我×我×我×我×我(ガガガガガ)作品。

想像や平均評価を遥かに超えて面白かった。

主張と譲歩は何事に於いても大切だけど地味に至難の業である。私は日々このように感じている為、複雑なこの行為に目をつけた監督に対し凄く惹きつけられた。婉曲な意見の押し付けや、薄っすらとした派閥、流されかけている者、黙っている者、論点がずれている者云々。良い塩梅に上手く描かれていた。
次に譲歩の登場。1つの賞を与えるべく意見の統一が必要とされた審査員たち。我の塊であるクリエイター達がどのように意見を纏めていくのかは中々興味深かった。やはり、キャリアとか、職種とか、様々なラベルを絡め、譲るべくして譲るのか?将又、平等に間を取り客観性を含む結果にするのか?なんて考えれば考えるほど、自分の暮らしを重ねたくなるリアリティがあり、面白かった。みんな違って、みんないいと言うけれど、柔軟さと協調性、思い遣りがないと正直言って辛いと思う。

そして、終盤になると急に異彩を放つ日本の映画評論家トミヤマさん。

「映画は夢です。監督の理想と夢を描きます。観客は日々の辛いこととか、苦しいこととかを忘れて楽しんだり、癒されたりするのです。夢の中の映画と映画の中の夢を、両方とも応援したいと思います。」

この突然のスピーチにより空気が一変。緊張感漂う前半とは異なりツッコミどころ満載の展開に。笑 コメディ色が強くなり、幾度も笑ってしまった。前半と後半のギャップが凄いけれど、結構好みの短編だった。
「映画とは何か」考えてもキリがないから兎に角私はハートで受け止める。