このレビューはネタバレを含みます
安定のイーストウッド作品。
自分の農園でデイリリーを育て品評会で評価されたり退役軍人仲間と楽しく過ごす一方家族を顧みず、一人娘の結婚式にすら出席しない男。
そんな彼がインターネット等の時代に乗れずに上手く行かなくなり自宅を競売にかけられる。
そこで始めた麻薬の運び屋。
メインストーリーと並行して
それを捕まえる麻薬捜査官のサスペンスの流れと、さらに彼の家族との贖罪と再生。
飽きさせないストーリー展開でとても見やすかった。
カメラワークも音楽も安定のイーストウッドテイスト。
ただこの映画のイーストウッドはいつもと違って鼻につくくらい嫌な感じお爺さんでした。新しいものを受け入れられず家族を顧みずに自分勝手で差別とわからず差別用語を使う。
身近にいる高齢者とかぶるのもイーストウッドの狙いでしょうね。
伏線回収があるのかなぁとか主人公が多少麻薬捜査官の裏をかくのかなぁと思っていたけどそれもなくあっけなく捕まる。
ある意味その辺りは現実的で、高揚感も無く大金をたやすく手にした老人の無謀さがそのまま虚しさに直結していた感じでした。
イーストウッド作品は色々見てきて主人公の切ない感じや哀しい感じを余韻としてきたけれど、今回はイーストウッドの老いが純粋に辛かった。
イーストウッドもお年を召しすぎたなぁ…と。
まあるい背中が本当にキツかった。
彼の撮る作品がとても好きなのでこの先どれだけ作品を作ってもらえるのだろうかとさみしくなったのだけど…コレもまさかの演技？！演出？！
ヤラれました…
もう、本当に素晴らしい監督であり俳優だと思います。
