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運び屋のlptsのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.8
「終活」

人生が終わる前に作っておかないといけない映画。こんな印象を受けた作品だった。イーストウッドにとって遺作になるであろう本作は、他のイーストウッド作品と同じく、とても説教臭い映画だった。

「家族と時間」
 
今までのイーストウッド作品の説教はアメリカ人向けだと感じることが多かったが、本作の説教は全世界の人間に響く説教となっていた。その説教というのは「家族と時間」についてだ。この二つの大切さ、重要性は、世界中の人間がわかっているようでわかっていない。そして、何もわからないまま人生を過ごし、人生の終点に行き着いた時、はじめてこの重要性に気づき後悔する人間がたくさんいるはずだ。本作でイーストウッドは、こんな人生だけは送ってはいけないと、静かに熱く説教してくる。88歳という年で、実生活で家族をないがしろにしてきた彼が言うのだから、本作の説教にはとんでもない説得力がある。彼がこれから監督主演作品を作るかどうかはわからないが、本作の説教こそが最後にふさわしいと強く感じた。
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