春とヒコーキ土岡哲朗

映画ドラえもん のび太の月面探査記の春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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まだできていないことを信じることが、実現への第一歩。

人類の月面着陸50周年記念で、月にまつわる映画。
迷信を現実にする道具「異説クラブメンバーズバッジ」が登場するが、月に行くことだって、かつては現実でなかったことが実現した一例。ロマンを感じる。
オープニングで、『月世界旅行』のパロディやかぐや姫、狼男など月にまつわる物語が盛り込まれている。月はずっと人類にとって身近で不思議なモチーフだったんだ。そんな月に行ける技術を身に着けた今の人類。その力を何に使うのか。支配でなく、皆で楽しむ方向に使わないと、進歩してきた意味がないよ、という話。

のび太とドラえもんが2匹のムービットを創ったら、次に来たときにはかなり栄えた文明ができている。これは映画ドラえもんのよくある楽しいパターン。きっかけだけ与えたら自分たちの知らないところで発展していて、それが一目で分かるワクワクするヴィジュアルなのも楽しい。
また、まじめそうでノリのよいルナがかわいい。

一方で、「人間は想像することをやめたときに破壊を始めるんだ」というドラえもんのセリフは、直接的すぎて逆に意味が分からない。ドラえもん映画は、観ている子供たちにメッセージが的確に伝わらなくても、楽しませる中でなんとなく身体の中に一緒に入っていく、くらいの微量で十分だと思う。