okome

スパイネーション/自白のokomeのレビュー・感想・評価

スパイネーション/自白(2016年製作の映画)
3.5
この映画が日本の映画館で公開されるときいて嬉しい。
それも「共犯者たち」と同時に。

これはノンフィクションである。ドラマではない。それも2012年に起きた事件だ。
誰が、何の目的で、こんなことを。

メインは2012年に起こった「ソウル市公務員スパイ事件」
2004年に脱北、ソウル市公務員として勤務していたユ・ウソン氏を「偽造脱北」し、
脱北者の情報を北へ渡していたと起訴。
捏造された証拠品、強要された自白と、スパイに仕立て上げられていった様子が徹底した取材で明るみになっていく。

これとは別に1975年に在日韓国人留学生がスパイ容疑で投獄された「学園浸透スパイ団事件」の被害者への取材は痛々しい。
身に覚えのない罪で収監されKCIAによる拷問の末の虚偽自白。時は過ぎ、無罪となっても傷は癒えない。
なぜ何の関係もない人たちが標的となったのか。
ただただ、脱北者、留学生というバックのない弱者だったからでは。

2012年
日本ではスカイツリーが完成し、ロンドンオリンピックに熱狂した年。
韓国では大統領選があり、文在寅を凌いで朴槿恵が大統領となった。
これも"北風”の一種か。
(国内の総選挙や大統領選挙が近くなると北朝鮮絡みの軍事挑発等が発生し保守派に有利な世論を形成させる「北風工作」が往々にして起こってきた。
映画「工作」はまさにこの北風工作について描かれている。)

この「自白」が「共犯者たち」ともつながっているのは確実だ。
okome

okome