Risa

蜜蜂と遠雷のRisaのネタバレレビュー・内容・結末

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2019年41作品目

原作未読だけど秋にふさわしい音楽映画、大好きな松岡茉優主演という事で鑑賞。

幼少期にピアノを習ってたし一応吹奏楽部にも入っていたので、楽譜の書き込み方って個性出るよな〜とかコンクールとか発表会の前の、ステージに出て座ってから第一音出すまでの異様な空気感、ドキドキが懐かしいな〜って思いながら観ていた。楽譜は緻密に的確にびっしり書き込む明石、クレッシェンドとディクレッシェンドだけをでかでかくっきりと記す塵、まっさらな状態で即興のアドリブに懸ける亜夜と、このメンバーだけでも様々で面白い。(マサルは見忘れた。)

観ているうちに4人の中で、私はマサルを応援していた。プライドが高くて完璧を求めるため、本選リハでなかなかオケと息が合わなくてピリピリしちゃう緊張感、応援せずにいられなかった。でも本番で大成功を収めちゃうくらい本番に強いタイプ、かっこよかった。

原作未読なので、てっきり亜夜と明石の一騎打ちになると思っていたけど(天才か地道な努力か的な)、思っていたより塵とマサルが頑張っていて驚いた。特に塵、あの工場で月夜のもと亜夜との『月の光』が聴けるとは思わなくてあのシーンはドキドキした。マサルは幼馴染の設定だったけど、本選前に緊張しすぎて打ちのめされそうになっていたマサルに、亜夜が練習に付き合ってあげていたのは強い絆を感じた。二人が使っていたあのコップ式の水筒、自分も昔使っていたなーと思って懐かしんでいたけど、そこには特に触れてなくてちょっと悲しかった。

ところどころ、四月は君の嘘(漫画、アニメ版)そっくりだなあと思いながら観ていた(君嘘大ファンより)。だからこそ、7年ピアノから離れていた亜夜が再び上を目指そうと決めたきっかけは何だったのか、7年の空白の中に何があったのか、そこがずっと気になっていたのだが原作を読めば何かわかるのかな。それとも私の考察不足なのか…

原作は超大作とのことで、それを2時間にまとめあげて且つ演奏シーンに重きをおくとやっぱり一人一人の出演者における描写が少なくなってしまうのはちょっと勿体無いなって思った。マサルの葛藤とか塵とホフマンのやり取りとか、もっと観たかった。その割に亜夜が本選直前に失踪する尺長いし(雨の中外階段爆走するところは天気の子かと思いました、ごめんなさい)、謎の馬登場だし、謎が深かった…

でもやっぱりピアノの音を楽しみたかったから映画館で観られたことに価値があるし、現実離れできるとても心地よい2時間だった。本選結果発表の、余韻をもたせるあの感じは超好き。
Risa

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