天才達の宴。
天才は争わない。競わない。
己と、対象物と闘い、愉しむだけ。
天才と争おうとする者は怒り、嫉み、堕ちていく。
天才の頂に触れようと努力し続けた者の中には
届かなかった失望を乗り越え普通の生活に還れる者もいた。
それは、守るべき者があったからかもしれない。
天才にも、様々な事情が勿論ある。
普通の少年だったはずが天賦の才能をやはり天才に見出され、
ひたすらにシャドーボクシングのように木で造られた
音の出ない鍵盤を叩き続ける者や、
周囲や世間に最大級の評価をされてもイノセントな人格なまま
より人気を集めていくが、己の今ある才能では
満足出来ずに創造の世界に踏み出そうとする者、
天才という評価から逃げるように10年以上
表舞台から姿を消すが、背負った十字架からは
逃れる事は出来ずその重荷を振り払い前に進むために還ってきた者、、、。
3人の天才と、1人の優れた凡人が互いに影響し合い
高め合いながら頂を目指す。
争いでは無い、競ってもいない。
それぞれがそれぞれの頂に向かうだけ。
それを見守るのは、今まで天才を見続けて、導いてきた者達。
彼等の視線は時に激烈に厳しく、時に包み込むように優しい。
圧巻の2時間。役者陣それぞれの良さを活かした
キャスティング、期待に応えるような名演。
演出に逃げない音楽の素晴らしさと、
その音楽を更に高める演出の確かさ。
素晴らしかったです。