ななめまえ

ちいさな独裁者のななめまえのレビュー・感想・評価

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)
3.8
辛い、しんどい、見たくない。盛り合わせフルコース。なぜみてしまったんだろう…降りたい、この緊張感と不快感の奴隷船から離脱したいと、幾度となく思いながらみました。
私はこの作品を観てありえない、馬鹿らしいと端から他人事のように否定する人は信用できません。なぜならヘロルトやその取り巻きたち、本作に登場する人物たちの行動が人間の性質だと思うからです。
現代社会におけるネットリンチ、学校や会社、飲み会でのパワハラ。一見遠いように感じられますが、状況が変われば本作と同じようなことが起こりうるのでは?
自分で考えることを放棄し、権力に盲従した途端、もしくは同調圧力に屈した瞬間、遠い世界のように感じられる虐殺も、ただの事務的な〝作業〟や〝処理〟になってしまうのかもしれない…。
本作は現代社会に対する警鐘のようにも感じられました。見たくない類のものですが見て良かったと思える作品です。
何より特筆すべきは、本作が実話に基づいているということですから。