有名ミステリー作家が自殺し、ツイードスーツの名探偵が登場します。
人里離れた豪邸。
雨でぬかるんだ地面に人を選んで吠える犬。
それぞれに秘密を抱えた家族。
芝居がかった態度が鼻につく名探偵。
古式ゆかしい本格ミステリの黄金期を意識した舞台装置は配役含めて極めてゴージャスで、否が応でもミステリファンの期待を煽りまくります。
...が!
肝心の『謎』がなぁ...
ぶっちゃけ、関係者がそれぞれの行動を話し終わった辺りで最初のトリックも、真相も真犯人ですら予想がつきました。
ミスディレクションが役者のイメージ頼りってどうなん...?
脚本も、悪くは無いんだけど、素直すぎて(あ、これ伏線かな?)と思ったセリフがことごとく伏線でした。そしてちゃんと回収されるという几帳面ぶり(苦笑)
なんというか、ジュブナイルのミステリ『名探偵ブノワ登場!』を読んでる気分になりました。
一言で言うと親切過ぎる。
ただ、舞台と配役以外でも見るところはあって、時速60キロのカーチェイスはなかなかに新鮮でした。
スピードを出さなくっても緊迫感のあるカーアクションはできるんだぜ、という新機軸は面白かったので、スコアは3.0です。