TaiRa

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のTaiRaのレビュー・感想・評価

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ライアン・ジョンソンを『ブリック』の監督として認識し続けた人間なので、そうそうコレコレ!って感じ。シリーズ化も嬉しい。

ミステリだけど謎解きや犯人の究明に力点が置かれている訳ではなかった。推理開始時から容疑者が絞られているし、映画の中盤で早々に「真相」が明かされる。そこからは「犯人」が主人公のサスペンスに。この辺のディティールも面白い。ライアン・ジョンソンの優れてる点はやっぱユーモアだと思うし、その部分を担っている場面はどれも楽しい。画に拘る人という印象もあったけど、今回は効果に寄り添った構図が多くてそれ程コテコテじゃない。嘘をつくとゲロを吐く人間を中心にミステリを展開するのがまぁ楽しいし、新鮮。嘘を前提にしたジャンルにそれが出来ない人を置く。ジャンルの解体とオマージュを同時にやるのが如何にもライアン・ジョンソン。キャストはみんな楽しそう。南部紳士探偵のダニエル・クレイグもこういう役やらせると張り切る。キャスティングが撮影の2ヶ月前から始まってるらしく、それも凄い。「来月末から撮影あるんで来れる人出て」でこのキャスト。どの映画でも「絶世の美女」をやってるアナ・デ・アルマスを「普通の人」として描いているのがとても良い。この話が「努力でゼロから成功する者=アメリカン・ドリーマー」から「移民の子=ドリーマー」への継承を描いているのも、現代アメリカ論として面白かった。気の利いた小道具の出し方とか、始まりと終わりの関係とか、2時間で完結するオリジナルストーリーの良さってこういうのだよなぁと。
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