まず、全体として正統派の謎解きが楽しめ、かつひねりも効いていた点は素直に評価できる作品であった。
しかしながら、緊迫感に欠ける。全編を通して非常にノリが軽く、別にふざけている訳ではないのだが、なんというかこう、真剣味が伝わらないというか…
ミステリ×コメディと言われればそうなのだが、謎解き要素が素晴らしかった分、登場人物の軽さが悪い意味で浮いてしまった感がある。
また、探偵のキャラが弱いというのも難点であり、作品のガイド役に過ぎない印象であった。
いやもちろん、謎解きの際に鑑賞者を真実に導くガイド役になるのは良いのだが、キャラクターが立っていないために印象付けが上手くいっていない。
続編が決まっているようで、もし、次回作で名探偵ブノワ・ブランのキャラクター確立が上手くいったのならば、大化けしそうな作品である。
2回目を鑑賞するのはやや厳しいと感じるが、ネタバレなしで初回鑑賞ならば、確実に楽しめるので、ミステリ好きにはおすすめの作品。