蜘蛛マン

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密の蜘蛛マンのレビュー・感想・評価

3.7
ひたすら古典的なミステリー。
刺激と斬新さのアップデートが常に求められるこの時代に、あえてよく作ったなと感心するくらい古典的なミステリーである。

内容は堅実で、謎を少しずつ出し入れしながら丁寧に話は進む。抑制が効いていて突飛さはない。派手さもない。むしろ不思議なおかしみがある。そもそも遺産家の相続を巡る争いの話であり、監督の意図した通り、アガサ・クリスティー的な様式美が香る。
探偵役のダニエル・クレイグがへっぽこに見えるのがたまに傷だけど、そこもまた地に足がついていると好意的に見ることもできる。

終わってみれば伏線もちゃんと回収され、結末にもどこか爽快感がある。嫌な後味もない、すっきりした勧善懲悪である。
けっして傑作とは言えないが、穏健に楽しめるマイルドな佳作だと思う。
蜘蛛マン

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