とぽとぽ

僕たちは希望という名の列車に乗ったのとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
墓参りで西の墓地へ --- お前を裏切った。始まりは授業中におこなった2分の黙祷。連帯感は連帯責任になっていく。自由を守ると、自然に出てきた提案。友情、親子、恋愛、そして裏切り者…?
あれは子供たちの悪ふざけ、とは片付けられない。ハンガリーに共鳴を示す意思表示は、若さゆえのかわいらしい反骨精神などとしては片付けられず、物事は反革命として深刻に受け止められいく。そして躍起になる首謀者探し、熱が入る体制側の脅威。生徒たちは政治的理由でなくサッカー選手プスカシュに捧げたことにする。だが、事態はまずいことになっていく。校長室へ。狙いは仲間割れ?首謀者は誰だ?アメリカ西側のラジオRIASをどうやって聞いた?そもそも誰が黙祷を提案した?全員退学なんてできるはずないから、全員でしらを切るぞ。調べる側は生徒たちを分断してくる。国家の力を生かした徹底的調査で弱みに付け込んでくる。
大人に見えてもまだ子供なんだ。リアルな葛藤に見ている方も揺さぶられる確かな語り口で、共感してしまう。将来ある身が窮地に立たされる危機的状況に追い込まれる。自分で考え行動する者は国家の敵。安牌に行くはずが特に反抗的?万国共通で責任逃れするやつはダサい。真実は大事。不安を抱く。若者たちが窮地に立たされたことで色んなものが見えてくる掘り下げ、丁寧かつ効果的な描写がなされている。英雄になるな、お前が誇りだ。みんな賛成をした、多数決で決めて。あなたの証言で終わり。綿密なリサーチと普遍的なドラマ、そして一歩踏み出す。僕たちを待っている未来へと大きな一歩。
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