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僕たちは希望という名の列車に乗ったのonotoramanのレビュー・感想・評価

4.5
親との対立、先生との対立、体制との対立。何かに不満を持つ人間のエネルギーは見ていて気持ちいい。

1956年、分断されてるけどベルリンの壁まではまだ立ってないころの東ドイツが舞台。情報統制されながらも自由を求める若者はしかし、「この前西側行ってポルノ見ちゃったぜ」みたいな軽い雰囲気がある。そんな中で、「ハンガリー事件のソ連許せねえ」って事で授業中クラス全員で2分間黙祷したら、大事件に発展してしまう。

50年代の学生達は自分の祖父母の世代なのだが、そんな頃の人達が普通に遊んで普通に恋してるのが、なんか嬉しい。冷戦下のドイツを描いた映画なのに、このころの学生から感じられる平和ボケの雰囲気は自分たちに馴染みのあるものだ。
そしてだからこそ、それが奪われようとする時の焦りや大人への不満に共感することができる。戦争映画って先人から何かを学ぼうって気持ちで見るものが多いけど、本作は終始主人公たちと同じ目線で戦争を追体験できる数少ない映画かもしれない。

それにしても後半の展開はすごかった…。彼らのように、衝突を恐れず、美しくあり続けたい。
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