いしくら

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のいしくらのレビュー・感想・評価

4.0
語るべきポイントが多くて、全部を語ろうとするととっ散らかった感想になりそうだから、まずは焦点を絞ってみる。

物語の核の一つに、前作から登場したメイジーの苦悩がある。彼女は相変わらず閉じ込められた生活をしていて、母のクローンである自分の存在に対して不安を感じている。それは前作と地続きの実存的不安だ。

自分とは異なる世代の人と話し、自分を作った母の事を知り、自分を投影したブルーの子であるベータを救う事で、彼女自身もまた救われたのだ。なんていい話。

そもそも、恐竜を作ると言うことはフランケンシュタイン的なテーマであり、それを変奏させ、少女と恐竜を結びつけて物語を帰着させたと言うことに拍手を送りたい。

歴代のオールキャストが揃ったところにおいては、最後だし力技の大団円に持っていった監督の腕力に感嘆した。笑


映画館には老若男女さまざまな層の客がいて、凄く雰囲気が良かった。鑑賞後、小学校高学年くらいの少年が夢見るような眼差しで、窓の外の街を見下ろしていた。彼には、住み慣れた街を闊歩する恐竜が見えていたのだろう。


とあるYouTube番組で、評論家やライター達がこの映画をクソミソ言っていた。だせーおっさん達だなと思った。最初と最後で世界が何にも変わってない、何も解決してない、と。そりゃそうだ、物事は解決しないまま進んでいくものだ。その中で失敗を繰り返しながら学んでいくのが人間だ。世界は変わらないかも知れないが、この映画を観た人の世界の見方が変わるかも知れない。それでいいじゃないか。
いしくら

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