このレビューはネタバレを含みます
まず、男であるリドリー・スコットがこの作品を撮っているというのが、自己言及的な視座があり、素晴らしいと思う。
レイプ野郎を撃ち殺し、逃避行の過程でテルマとルイーズが自由を感じ、人生を楽しんでいるように見えるが、今まで傷を負わされ、抑圧され、自由とは程遠い距離だったからこその喜びなんだよなぁ。
二人が感じているその自由は、本来は何の代償も払わずに得られるべきものであり、クズ野郎を殺した罪とはあまりにも釣り釣り合わない。
一方で、男側にもハーヴェイ・カイテルのような存在を配置したことによって、男とか女とか、正義とか悪とかの二元論的にならないバランスを持ち得ていると思う。
結末はどうなるのかなーと思って観ていたけど、やっぱりそうなるかーと…。ある種の爽快感のようなものを感じるが、あまりにも切ないし、やり切れない。
彼女らは男に殺されることを回避出来たが、男は彼女らに痛みをもたらしただけで、救うことは出来なかった。「救う」なんて、ちょっと傲慢な言い方だけど…。
公開当時、どのような議論があったのか知りたいなー。