Yoshishun

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.3
“パッとしない完結編”

やっぱりあのクローンの少女食われるべきだったね、と思わざるを得ないシリーズ完結編。次いでにクレアは確実に全世界から指名手配されてもおかしくないのに野放し状態。この『ジュラシック・ワールド』シリーズは一丁前に旧作への焼き直しをしている割には、1人も応援したくなるキャラクターがいないのが致命的だ。

やはり本作は新キャラクター達だけでは最早収拾が付かなくなったのか、旧作のレジェンド達が再集結したことに意味がある。ただ純粋に恐竜から逃げ惑うパニックものとしてローラ・ダーンの顔芸だけでももとは取れたも同然。旧三部作へのオマージュも取り入れたことで、前作に欠けていた恐竜に襲われる恐怖を描き切る。サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムの再登場の瞬間はやや平坦な演出に留まっているため、全く高揚感を感じさせなかったのが残念ではあるが。

ただ相変わらず人間側のストーリーに時間を割きすぎており、世界規模のスケールながらも要は悪徳企業を追い詰めるだけのこじんまりとした内容に落ち着いてしまっている。更には本作ではCGの化物に追われることで、何かから必死に逃げるスリルにも欠けている。年寄りが多いせいで全力で大型肉食恐竜から逃げているように見えず、クリス・プラットら新シリーズ陣営はバイクアクションやガンアクションと体を張っているのに、レジェンド陣営は尽くショボい『インディジョーンズ』と言うしかないのんびりした冒険譚を見せられる羽目に。

また、本作最大の汚点は、やはり恐竜以上に蝗のインパクトが強すぎる点だろう。どれだけ毛の生えた今の研究結果に基づく恐竜を出そうが、全長50cm以上にも及ぶ蝗には全く敵わない。環境破壊という観点から敢えて登場させた新たな脅威ではあるが、だったら前作の時点で何かしら匂わせるべきだったように思う。鑑賞後は恐竜よりも蝗のことしか頭に残らないほどには強烈過ぎるビジュアルだった。

150分もかけた割には結論が前作と同じで、どうもシリーズの締め括りとしてはパッとしない完結編となった。旧作へのリスペクトを捧げつつ、新シリーズならではのメッセージ性を出そうとしたものの、空回りしている印象を受けた。1作目のテーマパーク内の来場客が次々に襲われるシークエンス、そして何も悪いことをしていないベビーシッターがプテラノドンごと捕食されるシーンがピークだったか。
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