EPATAY

ウエスト・サイド・ストーリーのEPATAYのレビュー・感想・評価

3.5
オリジナル版のメッセージ性をよりはっきり、わかりやすくブラッシュアップされており、スピルバーグ監督の“上手さ”が際立つリメイクだった。

例えば、オリジナル版と比べて、ギャング団のメンバーたちがよりガキっぽくえがかれており、これによって対立のしょうもなさと悲惨さが際より立っている。

他には、トニーがマリアと叫びながら町を歩くシーンで、おばあちゃんや子どもが窓から顔を出す改変がある。

“マリア”はプエルトリコにおいてすごく多い名前であるため、このちょっとした改変によってトニーは人種で人を選ばないと示されているのである。かつ、マリアという響きを初めて聞くようなリアクションから、今までプエルトリコの彼らをどれだけ見ていなかったのかが示されるというダブルミーニング的な効果が生まれている。

以上のように、随所で細かいアレンジがあって良い映画だとは思った。

あとはさすがの演出力でずっと目が楽しい。

ただ、大枠はオリジナル版と同じなので、全体的に新しい作品としては特に魅力は感じなかった。

というのと、アンセル・エルゴートという存在がどうしても邪魔をしている。

俳優本人と役は切り離して見るべきというのもわかるが、どうしたって無理なもんは無理という領域は存在する。
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