圧巻の映像パフォーマンスは流石だったが物語には入り込みづらかった。暴力は何も生み出さず負の連鎖となるメッセージ性は十分だが、肝心の恋愛部分の説得性が不十分。あの事件を経てマリアがトニーを愛し続ける意味がわからない。
〈ポイント〉
・映像面でのパフォーマンスは明らかにオリジナル版よりも進化している
・ミュージカルシーンも彩り鮮やかなダンスホールは最高だった
・物語の根幹をなすトニー&マリアの恋愛部分に納得できるかが本作評価のカギ
・マリア役のレイチェル・ゼグラーは演技から歌唱まで素晴らしかった
・アンセル・エルゴートはさすがの存在感
・オリジナル版でアニタ役のリタ・モレノがドラッグストア店主のバレンティーナとして再演!
〈雑感〉
スティーブン・スピルバーグ監督があの名作ミュージカルを現代に蘇らせる!
延期に次ぐ延期で、ついに公開された“ロミオとジュリエット”を土台にした愛の物語。
以前午前十時の映画祭にて劇場鑑賞したオリジナル版とどのような形で差別化できているか、が気になっておりました。
オリジナル版のレビューはこちら。
https://filmarks.com/movies/10346/reviews/76857575
オリジナル版の細かいところはあまり覚えてないんですけど、今回は恋愛パートの描写不足(深掘りが足りない)が気になりすぎてしまいました。
トニーとマリアの出逢い。それは一目惚れであり、さらには2人の近づき方が衝撃的なものだったので惹かれ合うのは十分にわかるんです。
ただオリジナル版や本作を観たことある方ならお分かりだと思いますが、とある事件が起こってからそんな単純な話で終わらせられなくなります。
マリアにとっても人生を左右する大きすぎる出来事なだけに、それでもトニーと一緒になりたいってのが理解不能なんですよね。
なぜそうなったかの背景をマリアは細かいところ知ることもなく、ただその事実を知ってなお、トニーを愛してると。いや、もっと苦しむでしょうと。その辺がイマイチ伝わって来なかったんですよね。
オリジナル版では本作でバレンティーナ役を演じているリタ・モレノがアニタ役として存在感を示すのですが、本作のアニータを演じたアリアナ・デボーズも比較してしまうと役不足だなぁと。これも彼女の演技というよりも監督の演出や脚色の問題な気がします。
スピルバーグならではの映像面での魅力は存分に発揮できていた作品だけに、なんだか勿体ないなぁと感じた次第です。
〈キャスト〉
トニー(アンセル・エルゴート)
マリア(レイチェル・ゼグラー)
アニータ(アリアナ・デボーズ)
ベルナルド(デビッド・アルバレス)
チノ(ジョシュ・アンドレス)
シュランク警部補(コリー・ストール)
バレンティーナ(リタ・モレノ)
リフ(マイク・ファイスト)
※2022年新作映画28本目