アロユニ

ウエスト・サイド・ストーリーのアロユニのレビュー・感想・評価

3.8

「バットマン なぜ銃なんか?」
「空を飛べないからさ スーパーマン」


スピルバーグの画作りへのこだわりが、『フェイブルマンズ』を観た今ならよく分かる。

ミュージカルシーンはもちろん、色調や光源の位置、カメラワークなど、どのシーンも一枚絵として美しい。

スポットライトのように人物を照らす演出は、まるで舞台劇を見ているよう。

フィルムっぽいザラザラした画面も、古き良きシネマという感じで味わい深い。


ストーリーはシンプルで、テーマは何度も描かれてきた異人種恋愛。60年代の人種差別やギャング抗争など、当時の社会背景がダイレクトに反映されている。

後半の復讐劇は悲しく、ラストも心地良いとは言えない着地点で、なんとも悲哀に満ちた作品だった。


リメイク作品として何か現代的なアップデートを試みるというより、誠実に、真っ直ぐに、原作と向き合ってみようという気概を感じた。


故に恋愛描写についても、今の価値観なら少し共感しづらい部分があるかもしれないが、芯のメッセージは、いつの時代であっても大切にしたいもの。

「死すらも、2人を別ちはしない」
アロユニ

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