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殺したのは誰だのtristanaのレビュー・感想・評価

殺したのは誰だ(1957年製作の映画)
5.0
これもシンカネ、色と欲の世界が車とギャンブルに舞台を変えてもとにかく全ては金。西村晃にそそのかされた交通事故の保険金詐欺、何度挑戦しても衝突の直前でハンドルを切ってしまう小心ぶりを発揮する菅井一郎、西村晃も終始ピリピリで人選が悪い。近くの屋台で飲んでた殿山泰司が突如乱入して派手に即死、あまりにも華がある。手加減されているとは知らず名人とおだてられ、姉・渡辺美佐子の預金をすべて賭けビリヤード(厳禁)に突っ込んでフイにする小林旭、こちらも扇風機の音にピリピリで美味そうな出前の冷うどんにも目が入らない。保健所の表彰にゴキブリやナメクジがたかる山根壽子の店、ガード下で高級車に群がる磨き屋の少年たち。常に画面の端でアピールしている浜村純が唯一この映画で幸福な人間。菅井一郎がでかい契約を取ったと自慢してももはや誰も本気にしない、その運転するフロントガラスに降りかかる不吉な雨粒。無一文になった小林旭に例の詐欺の話を持ちかけ、乗ってこないと見るやわざと札束を落としてみせる西村晃の芝居が決定的。
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