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きみと、波にのれたらの斜線のレビュー・感想・評価

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)
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Mr.Childrenの常套句という曲がある。
詩を強みにここまでのし上がったともいえる彼らであるにも関わらず
"君に会いたーい。君に会いたーい。何してますか、気分はどう?"という、小学生でも書けるような歌詞。
初聴では「ああミスチル終わったかな」と思ったのだけど、聴く回数を重ねると魅力が増すのが彼らの魅力。
むしろ、変に凝った比喩表現とか、多くの人の本質をついて背中を押す言葉の力強さといった、桜井詩の得意分野を使わずとも、こんな平易な言葉でも、もう彼らは名曲を生み出せるという、一つの証明でもあったと言えなくもない。

ということを付随して思い出すほど、今作は、これまでの湯浅作品の中では異質だと思った。というより、アニメ映画としてこんな王道邦画プロットを真っ向からやること自体が異常。
普通の映画を見ている感覚だった。としかまだ言えない。
とはいえ消火栓、中々上がられないロープのくだり、コーヒーなどのリアルな描写とは対照的な、ひな子の日常のファンタジー具合の湯浅っぷり。それをあえて俯瞰で見せる事がアニメ映画としての違和感に繋がっているのだと思う。没入はさせない。神話にはしない。
とにかく普通。普通に感動するのに、どこかおかしい。はじめて見たバランスかもしれない。
夜明け告げルーよりもさらに大衆に寄ったと思いきや、実はそうでもない?
川栄ちゃんが存外ハマっててよかった。
アニソンはやはりズルい。
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