Jimmy

SHADOW/影武者のJimmyのレビュー・感想・評価

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)
4.2
TOHOシネマズ新宿にて鑑賞。

映画館では久しぶりに「映画って、素晴らしい芸術だなぁ…」と思わせてくれるチャン・イーモウ監督作品だった。
水墨画のような背景・風景の中で、登場人物たちの駆け引き・死闘・策略などが絡みあっって人間ドラマとしても見応えあり。
また、琴や笛など音楽も素晴らしく映像にマッチしていて、バトルで使われる「傘の武器」はユニークで見事な造形。
更に、徹底してモノクロームっぽい背景の中で、人vs人、軍団vs軍団などのバトルで流れる血の赤い色、時には人の肌に生気を表現する色が鮮烈な印象を与える色づかいが芸術的。

物語は、中国で領土争いがあって領土を奪われてから二国間で休戦協定を結んでいた王どうしだったが、片方の国の重臣である都督は領土を奪った将軍に戦いを申し込む。都督の勝手な行動に王は激怒するが、この戦いを申し込んだ都督は影武者であり、本物の都督から「影武者を解放するという自由と引き換えに敵地で戦うこと」を命じられていたのだが……という序盤。
そして、さまざまなかたちで戦いが始まる。その合間に恋心が描かれたりもする。
ラストまで意表を突く展開が繰り広げられるので、物語として実に面白い!

雨降る風景での水滴や人物のスローモーション映像が美しく、どの場面でも完璧な構図。

チャン・イーモウ監督作品は、『紅いコーリャン』・『菊豆』・『紅夢』・『初恋のきた道』など人間ドラマをそれぞれの時代の色で描いたものも良いが、『HERO』・『LOVERS』のような煌びやかな色彩はなくても、本作のように水墨画調で描かれたインパクトある映画も素晴らしい。
Jimmy

Jimmy