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テッド・バンディのmaiのレビュー・感想・評価

テッド・バンディ(2019年製作の映画)
3.6
クライム映画というよりかは、クライムという名を借りた恋愛映画のように感じました。

残忍な犯行を繰り返したテッド・バンディ。それを演じるのが、爽やかなイメージの強いザックエフロンが演じるというだけでかなりドキドキするのですが、やっぱり彼は演技派の1人なんだと確信しました。
その爽やかで女性が靡いてしまう顔に、観客側までも惑わされます。彼が主張するように、彼は無実で、警察側・検察側が彼を犯人にしようとしてるのではないか?という思いがよぎるのです。

まだ時間の経っていない事件なので、遺族の方々も多くがご存命で、この映画のあり方にはかなりの賛否両論があったということで…そういった懸念点の部分では、うまく扱えてたんじゃないかと思います。
彼をある種の英雄化して描くことなく、あくまでも残忍な犯行を行った人として描いてますし、彼をちゃんと「異常」として扱っています。

この映画は、ジャンル的にはクライムだと思いますが、どう考えてもリズとテッドの恋愛映画なんですよね。
リズ目線で話が展開していく(リズが目にしたものや聞き得たもので展開していく)ので、彼が凄惨な事件を起こしたシーンはないですし、一人娘のいい父親になれる人物して写るんです。
だからこそ、ラストのシーンは衝撃的でした。裁判の結果などは知っていたけれど、2人の関係がそのように決着がつけられて、さらに今までの心の重しがそのように取り除かれるとは…。
なぜ彼は彼女たち親子を殺さなかったのか?その答えはやっぱり「愛」なのかな…と。それで、他の女性とリズたちとを線引きできてしまうテッドはやはり異常ですけれど。

実話だからこその怖さがあり、そしてリリーコリンズとザックエフロンの演技力が光る映画でもあり。公開を待ちわびてた作品なので、大満足でした。

2019年の劇場鑑賞はこの映画で見納めです!
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