このレビューはネタバレを含みます
長いなとは思ったけど、眠たくなったり、退屈に感じる部分は無かった。
日常の風景に突然の撃ち殺し、また元に戻るという緩急が凄かった。
特に、デニーロ達がオーセージ族を殺しまわっている気付いてからは、ディカプリオの妻思いと、裏での殺人、毒を盛る様子の、幼稚な見ないふりを続ける葛藤顔にイラつきが止まらなかった。
またデニーロの老獪な巨悪さにもイライラしてとても良かった。
ディカプリオの空っぽ、子どもっぽさの演技が凄い良かった。
モリーの、反対に耐え忍ぶ強さと辛さがもの凄い。
・ディカプリオの薄っぺらな子どもっぷりにイライラした。そしてそれがモリーとの最後の対面で、デニーロの罪を証言したディカプリオが、モリーにインスリンと言いつつ毒を注射していたことを言わなかった。
それは、今まで薄っぺらな野郎だと観客のヘイトを買っていたディカプリオが、自分の罪には向き合わない、向き合えない事が、白人がインディアンに対して行ってきた悪行に、観客自身は向き合えているか?いないだろうという後ろめたさを最後に告発するような展開になっているのではないか。
・最初にオーセージ族が、インディアンとしての生き方を捨て、白人に染まると決意した瞬間に、祝福、あるいは呪いのように石油が湧き出て、アメリカ資本主義の成功者になる。しかし、それは酒に毒を盛られて殺されたように、禁酒法時代に完全にそぐわない退廃した生活をインディアンが行ったことになる。
生活スタイルは白人の真似事になる悲劇。
・スコセッシ版『パラサイト』かなと思いながら見ていた。デニーロ一家のモリー一族への寄生と乗っ取り、そしてアメリカ白人のアメリカ大陸への寄生、資本主義文化のインディアンの文化への寄生。
とても気分が悪い3時間半でとても良かった。