まるい

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのまるいのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

「裏切り」はよく物語の題材になるが、この映画はかなり繊細にそれを扱っている。

ある意味わかりやすく、愛までを偽装して相手を完全に騙す悪に陥っているのではなく、どちらかというと自分で自分を騙しているというか、行動に一貫性がないことに気づくことができない。あるいは、気づいていても、深く考えないようにしてしまうこと。周囲や誰かに行動原理を支配されてしまうこと。

その状況を説明するでもなく、なるべくそのまま取り出して見せようとすると、これだけ長い尺になってしまうのかもしれない。

そんな丁寧さの反面、プロローグやエピローグ、背景の連続殺人のダイジェスト、暴力の描写など、まとめるところはぎゅっとまとめられていて、本当、作り手は手練れだと思う。ウェットさとドライさのバランスがすごい。(プロローグの石油の噴き出すショットが好きだった)

個人的には、アーネストは注射に追加したのは安定剤の類いだと思いつつ(本当は何か、怖くて叔父や医者にははっきりと聞けない)も、言ってはいけないものだとも薄々気づいていたのだと受け止めた。聞けない、見たくない、知りたくない…言ったらおしまいになりそうなことに、つい口をつぐんでしまう。
まるい

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