慎一郎

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの慎一郎のレビュー・感想・評価

5.0
どこまでも情けない主人公はスコセッシの真骨頂。冒頭のスローモーションのダンスから、最後のラジオ劇まで。あっという間の3時間半。スリリングな脚本。極上の演技。極上の絵。極上の音楽。とてつもなくスタイリッシュで面白い。そして面白いだけじゃない。物語の背景にあるオセージ族の死生観、往時の(あるいはいまも続く)白人コミュニティの振る舞いに対する徹底的なリサーチのうえに築かれた現代的メッセージ。これが現在の西部劇の、現在のハリウッドの到達点なのか。いやはや。すごい。
あとこの映画をきっかけに久しぶりに宇多丸さんの映画評を聞きましたが、相変わらず素晴らしいですね!!過去作、原作などの参考資料を引用しつつ映画の中にある構造を解きほぐし、根底にあるメッセージを提示する。これこそが評論だと思うし、こういうレベルの評論があることが映画という芸術形態の豊かさを支えているんだよなーと思ったりもしました。
慎一郎

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