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幸せへのまわり道のiroiroのレビュー・感想・評価

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
4.2
フレッド・ロジャースの言葉は強烈ではない。相手に質問を投げかけてじっと目を見てまず聞く。いつのまにか心の1番痛む、柔らかい場所に言葉をそっと置いていく。この人の良さを映画にするのは難しい。

1番印象に残ったのは彼は決して完璧ではない、と妻が語った場面。彼の態度は努力と練習の賜物だと。

心が置き去りになるか、過度に敏感になるか、両極端に振れる時代。心を見つめ、感情にどう対処するか子どもたちに伝え続けたロジャースのような知性の持ち主は一体どこへ消えてしまったんだろう。より多く奪う人が勝ち組と呼ばれ、宗教は儀式をなぞるだけで心に向き合おうとしない。彼のように思いやりを日々練習する姿こそが尊いのに。

彼の人間としての在り方を丁寧に描いた良い映画だった。
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