さはら

幸せへのまわり道のさはらのレビュー・感想・評価

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
3.9
「大人用子ども番組」といった内容。
誰しもが持つ悩みや葛藤に優しくよりそってくれる優しい映画。
その分物語として見ていいのかカウンセリングのようなつもりで見るべきなのか鑑賞中自分の中でも軸がブレてしまうところがあった。

アメリカで長年子ども番組を制作してきたMr.ロジャース。向こうではまず知らない人はいないような人物なのだろう。彼については僕もたまたまAmazonプライムで視聴した彼自身のドキュメンタリー映画『ミスターロジャースのご近所さんになろう』で知った。あのドキュメンタリーを先に見て正解だった。彼の番組を最低限知っていないと理解できない作りだったと思う。

誰に対しても優しく温かい眼差しを向ける彼の姿勢や、相手に説教をキメることをせず辛抱強く寄り添うことで本人に解決の道を見つけさせる姿はロジャースそのもので、さすがトムハンクといったところ。
そんな人気者の彼自身の本当の姿とも言える臆病なトラのダニエル。そしてロイドのウサギ。パペットの使い方や、ダニエルとして演技する「うらのフレッド」を見せる演出がとてもよかった。

ガタイよすぎるけど。

特に起伏もなく穏やかな作品。
しかし聖人と評価、揶揄される彼自身の葛藤と、その先のみんなのMr.ロジャースを感じさせるラストはこの作品を心地よくしめてくれる。
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