地球の大気が異変をきたして、極度に酸素が薄くなり、人類は新天地を求めて地球を脱出した。しかし、地球に自己修復能力があって、まだ人類は生存可能であるという父の研究を彼の亡き後も引き継いだ娘サムは、一人孤独に地球で自給自足生活を続けている。
或る日、気球でサムの父親に会うべく飛来したのは、黒人男性マイカ。サムは、父が(死んだのではなく)外出中で、自分は彼の助手だと偽って、マイカを引き止め、久しぶりに人と交わる機会を得た。徐々に二人の距離が縮まるなか、サムは父の死と自分が娘であることを打明け、マイカは、自分の家族が死んだのはサムの父が地球に留まるよう説得したからだと秘めた恨みを明かす。
地球を脱出するための最後の宇宙船が3日後に出る。サムは、すでに別の惑星で待っている恋人とメールでやりとりし、すぐに地球を立つよう説得されており、心は終始揺れているが、彼が新天地の探索隊に志願してさらに遠くに立つことになったと知ると、追う人がいなくなったいま、やはり地球に残る決意をする。一晩愛し合ったマイカを見送ったサムは、酸素マスクをしながら廃墟と化した美術館に赴き、そこでユピテルを主題とした神話モチーフの絵画を眺める。