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あいが、そいで、こいのスチールラグのレビュー・感想・評価

あいが、そいで、こい(2018年製作の映画)
3.5
とある映画館に入ろうとすると、入り口でチラシを配っている。
よくある光景なのだが、若者が4人も並んで配っていて、しかもすこぶる威勢が良い。
「よろしくお願いしまーす!よろしくお願いしまーす!!」
「お、“あいそいこい”だ」
「そうなんです!4人全員出てるんです!!」
「本当に?じゃあ、みんなで写メ撮ろうか」
パシャ
写メに写った彼らは弾けるような笑顔でみんなキラキラしていた。
真ん中のくすんだジジイでさえ少し光って見えた(おでこが)。

作品は、彼らの情熱そのままに、真っすぐド直球の青春映画だった。カーブもシュートもフォークも無い、真っすぐなストレート。
主人公の少年が、良くも悪くも暑苦しいほどがむしゃら。女の子に「ガキはキライ」って言われちゃってるしなあ苦笑。
でも、すましたところも取り繕ったところもない真っすぐさ。
少年が、その女の子と二人っきりで良い雰囲気になるシーンがあるのだけれど、どうして良いか分からない少年は、「なんやねん!」と手を振りほどいてしまう。その素直な反応にクスッとする。このシーンは伏線となって、終盤もう一回登場するのだけどこっちは泣ける。
少年が大人となり、あのときはどうして良いかよく分からなかった感情ともう一度めぐり合う。少年時代の真っすぐな叫びとあいまって余韻を残した良いラストだと思う。

一緒に写メを撮らせてもらった4人の方々はほぼ分かりました。上映後、トークショーの予定もなかったのに、出演者の方が壇上に上がりミニトークショー開催する熱心さ。作り手サイドの情熱を感じます。
いまどき、ひねったりこじらせたり考えすぎたりする映画の多い中でかえって新鮮でした。高校生の頃を思い出させて、後からジワジワ来る映画。ただ、僕は、子どもから一気に飛ばしてジジイになったようです笑。

「あいが、そいで、こい」K’s cinema新宿20190627
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