TaiRa

殺さない彼と死なない彼女のTaiRaのレビュー・感想・評価

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)
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永遠に観てられるショートエピソード集という点でタラの『ワンハリ』と大体同じ。「お前らもう結婚しちゃえよ」なカップル3連構成。

原作の4コマ漫画は映画の後にざっと見た。『殺さない彼と死なない彼女』『きゃぴ子』『君が代ちゃん』の3作を一つの世界にまとめた群像劇。群像劇といってもそれぞれの「相方」と二人芝居する場面がほとんど。一つのシーンで絡む人間が多くても3人くらい。組み合わせが変わっても二人のやり取りが基本。原作のキャラ観を踏襲していたりしていなかったり、役者ごとにリデザインしてる。その点では桜井日奈子が優秀。4コマの映画化なので脚色が大変だったと思うけど、そもそもキャラが強いしどいつもこいつもやたら背景を感じさせるから、そこをシンプルに広げてる。癖の強い言い回しや幻想的過ぎる自然光撮影のルックなど、非現実性を強調しながら自然派な感情の流れが好感。長回し多いのも役者に良い影響与えてる。終盤の大きな展開に既視感(某変な題名のやつ)覚えるが、まぁそこは別に。優秀なストーリーや技巧より役者とキャラの魅力で突き抜けてるタイプ。桜井日奈子なんて今まで誰も正しい使用方法を見つけられなかったと思うんだけど(とか言って出演作一本も観てない)、これは上手くいってるでしょ。現場で役者が作った動きとか台詞も結構入ってるみたいで、そういうのも上手くいった要因かと。二人芝居だからこその自由度かな。君が代ちゃん改め撫子ちゃんのデザインとか原作とは結構違うけどすんなり収まってる。最初は台詞回しにギョッとしたけど。八千代くんと撫子ちゃんは5時間観れる。私服の撫子ちゃんかわいい。きゃぴ子と地味子のシスターフッド感好きだからもっと観たかった。教室の前で座り込むきゃぴ子に地味子が合流した時泣ける。きゃぴ子の回想はちょっとクドいけど。夢から覚めて泣いてしまう事の説得力が全体通して凄かった。そんな夢から覚めたら泣いちゃうよ。
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