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殺さない彼と死なない彼女のトレバーのレビュー・感想・評価

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)
5.0
「未来の話をしましょう」

所謂、ティーンエイジャー向けラブコメや、
カレカノが死ぬ死ぬ詐欺感動ものってボクはまず
観ませんし、本作も映画館での予告を観る限りでは
登場人物の、え?死ぬだの殺すだの何言ってんのw
今どきの子供達のラブコメなんだろうなー、
なんて思ってたんです。全く前情報知らなかったので。
それが、公開されてから洩れ聞こえる高評価。
原作のTwitter発の漫画も名作らしい、、、。
あれ、これってこないだ観て最高だった、
「生理ちゃん」と被るなー。
友人からも、ナーメテーター案件だったと勧められ
観に行く事に。

、、、思い出しただけで、目が潤んでしまうくらいに
やられてしまいました。
すでに原作本も購入、可愛い絵柄の4コマなんですが
ゆっくり読み進めています。


ルックスも才能も恵まれているけど、怪我をして
留年してから全てに興味を持てなくなった小坂の目に留まった、
小さい頃からいじめられ自傷行為を繰り返して死にたがってるけど
ハチの命にすら悲しむような女の子、鹿野。
「死ぬ」「殺すぞ、死ね」
輪からはみ出た孤独だった2人が、出会った。

ひたすら、好きという気持ちを伝え続ける撫子と、
過去に囚われその気持ちをかわし続ける八千代。

1番欲しかった母の愛情が得られなかった故か
愛される事に執着するきゃぴ子と、
愛に飢えて過剰に恋に走るきゃぴ子を暖かく見守る
自分は可愛くないと思ってる親友、地味子。

コミュニケーション。お互いをわかり合おうと、
いっぱい話したり一緒に過ごしたり。
でも、相手の本当の気持ちは、わからない。
わからないから、色んな方法で知ろうと、わかろうとする。
不器用で、ぎこちなくて時としてワケがわからない行動になってしまうけど。

わかったつもりになって、フツーに過ごしている
仲良しごっこをしている連中の輪からはみでてしまう、
そんな男女6人が本当に愛おしくなる。

はみ出し者達を微笑ましく見ているからこそ、
見え隠れする各々の切実な理由に切なくなる。
そして、物語は思いもよらない展開を見せるんですが
本作が特別なものになっているのはその展開により
大切な事に気付かされるからです。

人を想う事。お互いを思いやる事。
それぞれが違っていて、気持ちが分からないのは当たり前。
だから、わかったつもりになって安心するんじゃなくて
わかろうと努力する。ヘタクソでも。
不器用でもいいから切実に相手を思う事。
輪から外れていても、大切な人がいればいい。

夢の中で小坂の胸に飛び込む、子供のように
無邪気な鹿野の笑顔を思い出すだけで、
胸が締め付けられてしまいます。

登場人物や世界観にはまれるかどうかで
評価は分かれるかもしれませんが、
生きづらい子達の青春ものとして今後
語り継がられるような名作になったと思います。
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