湯っ子

お嬢ちゃんの湯っ子のレビュー・感想・評価

お嬢ちゃん(2018年製作の映画)
3.8
小さな体で男どもにケンカを売るみのりは、全身の毛を逆立てて吠える小型犬みたい。夜道をひとり肩で風切って歩いていく後ろ姿は孤高を感じさせもするが、やはりか弱い薄着の女の子であって、見ている方は常に心許なさを感じてしまう。
最後まで仏頂面で、笑う時も唇を片側に歪めるだけのみのり。年月を経てもその眼差しは鋭いままなのか。それでもいいと思う。みんながみんな、ものわかりのいい大人になんなくたって良いのだ。
たくさんのコントみたいなシーンは、「どいつもこいつも、くだらない」。でも、そこにそのへんにいる普通の人間たちの営みがある。生きることは本来みじめなことなのかもと感じさせられるのに、どこか慰められるような気もする。
終盤の仲間うちでの軽リンチシーンは滑稽でみじめでもの哀しい。あの出来事がトラウマになるのは、やった側のふたりだと思う。
湯っ子

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