これが「キングスマン」シリーズの第1作なら海外での評価ももっと高かったはず。
「X-MEN:ファーストジェネレーション」よろしく歴史の裏で暗躍した秘密組織を描く本作。ホモソ描写の面白さも同じですね。さすがマシュー・ヴォーン!
「1917」「彼らは生きていた」「ダンケルク」「ウィンストン・チャーチル」と並べたくなるイギリス人監督が描く歴史物としてのキングスマン。
主人公が属する貴族階級は先祖の血塗られた歴史で獲得されたこと、それは世界史の中での大英帝国の立ち位置と重なる。
だからこそ(たまたま)特権階級にいる自分達は世界平和のために使命を果たさなければいけないという問題意識に良い意味で驚いた。
マイケル・サンデル教授的な今の環境運ゲーですよ的なテーマ
社会の底辺だったけど、実は特権階級の血筋だった!という無邪気な1作目と比べるとテーマ的にかなり成熟した印象。
またやはりマシュー・ヴォーンの映画監督としての力量はすごい。
アクションは相変わらず楽しいし、高原にラスプーチンが登っていき、ヤギが次々と顔を上げて群がっていくシークエンス1つ取っても、その非凡さに唸らさせる。セリフのウィットさも良い
ただキングスマンの魅力であったバカバカしさのピークが本作は前半で終わってるといってもいい(ヤギとかあるけど)
後半のWWⅠからはシリアスな描写が続く。このシリアスさこそがシリーズの中での本作の特徴だと言える。
階級や立場が変わると…というテーマも冒頭から一貫してて面白いと思った。
レイフ・ファインズはめっちゃカッコいいし、彼がキングスマンという組織を立ち上げるまでの話としてはよく出来てる
でも黒幕よりやっぱラスプーチン戦の方が正直全然燃えましたもんね。それに話として流したいところは、キングスマンですから!という少し都合の良さも感じた。
(ウィルソンのアホさはどんだけアメリカ嫌いやねんと笑えたけど事実的には笑えない…)
本作の真面目で真摯(紳士)なマシュー・ヴォーンの姿勢と「キングスマン」の過激さと狂気、良い意味での雑さの食い合わせのバランスをどう取るかの作品だと思います。もっと頭おかしい(褒め言葉)キングスマンを期待する人には物足りないかも
僕はハードルが下がってたからか、歴史物としてのキングスマン楽しめました