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キングスマン:ファースト・エージェントのkitoのレビュー・感想・評価

4.0
シリーズとして見ると起承転結で見事な "転" になっている。ややネガっぽい世評とは異なり第一作並みに存分に楽しめた。

前作のキャストは誰も出てこず、1914年第一次世界大戦当時の史実が絡むストーリーになっている。イギリス国王、ドイツ皇帝、ロシア皇帝など歴史上のキーパーソンが登場する。この三人をトム・ホランダーが一人三役で演じているとWikipediaで知ってビックリ。ついでに再生を止めて、学生時代履修しなかった世界史の関連項目を読みまくった。

すでに過去、何度かググっているのだけれどロシアの怪僧ラスプーチンについては斜め読みでもしておくとより楽しめる。見た目が実際の写真ソックリに再現されているし、暗殺のトドメの一撃がしっかり史実通りになっている。

中盤でのこの格闘シーンはそれまでイマイチ盛り上がりに欠ける前半から一気にギヤアップして最高に見応えがあった。チャイコフスキーの序曲「1812」が大いに盛り上げており、第一作の「威風堂々」同様ヘビロテしたくなるーーという気持ちはちゃんと読まれていて、エンドロールの終曲がこの曲で実に気持ち良く見終える、そもそもは序曲なんだけど。

ラスプーチンとの対決が大盛り上がりで終わり、この後、大丈夫なのかと懸念したが全く杞憂だった。スローペースだった前半が嘘みたいに後半はアゲアゲ・テンポで進んでいく。

ルッキズムまんまだけど息子くんを演じるハリス・ディキンソンの顔立ちと精神的にもお子ちゃまで空回りなキャラがどうも好みではなかった。しかし、そのキャラのおかげで迫力ある戦闘シーンからの「1917 命をかけた伝令」の再現となる。挙句には...なるほどよく出来た脚本だなあ。

クライマックスは「未知との遭遇」に出てくる岩山デビルズタワーみたいな高所恐怖症にはやばい場所でラスボスと対決する。ヤギの伏線はさすがに読めたなぁ。主役のオックスフォード公を演じる50代後半のレイフ・ファインズはハリソン・フォードに似ていて、まるでインディー・ジョーンズ・シリーズを観ているかのような面白さがあった。

さて、この後、起承転結なら再び現代を舞台にクライマックスとなりそうだけど、はたしてどんな展開になるのだろうか。
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