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パルスのkitoのレビュー・感想・評価

パルス(2006年製作の映画)
2.8
思いの外、けっこう楽しめた。

YouTubeでチャンネル登録している角川シネマコレクション(公式)で二週間限定公開の「回路」が流れてきた。集合体恐怖症なので、Amazonで目にとまった本作のビジュアルにゾワゾワするキショさを覚え避けていたが(このシーンは劇中にちゃんと出てくる)、本作がこの「回路」のハリウッドリメイクだと知って俄然興味が湧いた。

カルト作として名高い「回路」は一年ほど前に観ており「あふれる、なんじゃコレ感⁉︎が怖い」と書いて「2.5」の低スコアを付けた。今回このリメイクを観る前に復習でオリジナルも早送りで観ておこうと再生。去年観たGYAO!は画質が良くなかったが、さすが公式はかなり観やすい画質に驚き、全編二時間を普通に面白く見返してしまった。

麻生久美子と小雪はともに好みで、その昔、彼女たちを観るとニヤついていたのを懐かしく思い出す。また、ダイアルアップでネット接続するネゴシエーションの音も今となっては絶滅環境音としてノスタルジーを刺激される。

内容もしっかり覚えていて、初見時にもちゃんと観ていたと思っていたけれど、再見したら何やかや良くできているなあ、という感想が強まった。なるほど、考察しがいがあって、根強い人気が続いているのにも今更ながらに納得。今回の再見でスコアを「3.3」に付け直したい。まったくの偶然だけど、ひとつ前に観た「おみおくりの作法」同様、死生観を問われる気がした。


で、本リメイクだけど、酷評の集中砲火を浴びている。確かにオリジナルを観ていると、何だかなぁな気持ちも分かる。なまじ結構オリジナルの展開をなぞっている分、余計にイライラする気持ちになるのだろう。

でも、全編、映像に雰囲気があって、意味不明だけどオシャレに見えてしまう、どこぞのとがった系海外ミュージックビデオみたいで飽きずに観られた。音と映像によるジャンプスケアでちょくちょく脅しにくるのも、お化け屋敷的な面白さだった。

オリジナルと異なりヒロインが女子大生になっており、舞台となるキャンパスや女子寮が怪しい雰囲気で良い。特に寮の地下にあるランドリールームでヒロインが襲われるシーン、出るぞ出るぞという期待が盛り上がり「ハイ、お今晩は〜」的に出てきたのには大ウケした。

これはオリジナルにも言えるのだけど、パソコンのディスプレイを通して幽霊やら化物と会話するシーンがたびたび出てくる。今でこそ何でもないリモートミーティングだけど、2000年当時はそういうシチュエーションですらバリバリの近未来的なSF表現だった。

1996年比較的早い時機にインターネットに接続し、ホワイトハウスの米国国旗がゆらりとはためくだけのGIFアニメに感動したのを思い出した。当時のアナログ回線用モデムって、最大速度の仕様が14.4kbpsやら28.8kbps!だったもんなあ。

というわけで、オリジナルは凄かったんだなぁな再認識とまあまあなリメイクとで、すっかり二十年前にプチタイムスリップできて楽しかった。
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