ドルジ

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのドルジのレビュー・感想・評価

3.9
79点(100点満点中)
〈脚本〉37/45点
 「普段関わるはずのない2人がひょんなことから共に行動するようになる」というプロットはありふれているが、そこに障害者への“逆差別”という現代的問題をテーマに取り入れつつ、「感動ポルノ」にならない程度のあっさり加減で見事に仕上げている作品だった
 2種類の追跡者がいることで物語に締まりが出ていたし、悪いことをしたタイラーにはちゃんと罰が下り、恋愛要素も邪魔にならないギリギリのラインで留まっていて、なんとも“痒いところに手が届く”脚本だった
 1つ気になったのは、エレノアがタイラーに惚れているという要素を入れたことだ。これにより、ラストに擬似家族的感動をもたらす効果はあったが、ザックもちゃんとした大人なので結局子供扱いから抜け出せていないとも捉えられる。これが物語の本筋になっていたら賛否も別れただろうが、あくまでオマケ要素なのでまだ許せる
 個人的には派手な盛り上がりや裏切りのある話が好きなので超高得点はつけられないが、非常に優等生な脚本ではあった
〈演出・撮影〉19/25点
全体的にアングルの上手さが光っていた。会話シーンでは、単に話す人の顔を交互にパンするのではなく、それぞれの俳優を1番“エモく”撮れる画角で捉えるよう工夫されているように感じた。その結果、映画全体を通して綺麗な画が多かった
〈音楽〉8/10 点
そこまで自分好みの音楽ではなかったけど、よくある劇伴ではなく、民族楽器を用いたようなほのぼのとしたBGMで良かった
〈演技・キャスティング〉7/10 点
ザック役の人本名もザックなんだ
〈印象〉8/10
97分でこの内容の詰まり方と綺麗なまとまり方は素晴らしい
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